HipHopDictionary
Interview

まず最初に、自己紹介をお願いします
Problemz : Problemzだ。インダストリー歴は結構長めで、hondaとは1994年からの付き合いになるな。『h』『h II』両方に参加してる。
hondaさんの第一印象は?
Problemz : 今までに経験したことのない全く新しいモノだった。ルーズベルトアイランド出身のブラックアタックがhondaを紹介してくれたんだけど、とにかく光栄だった。hondaに会う前は、オレはアメリカから出たことが無かったし、素晴らしい経験の連続だった。
数々のコラボを経て、dj honda × Problemzのアルバム『ALL KILLA NO FILLA』をリリースすることになりましたが、今のお気持ちは?
Problemz : とにかく嬉しい。連絡が途絶えていた時期もあったけど、去年の3月に再会して、それからはスタジオにこもって作業し続けたんだ。
アルバム『ALL KILLA NO FILLA』のコンセプトをプロデューサーの視点、MCの視点から教えてください
dj honda : HIP HOPだね、これがオレらの音楽ってこと。
Problemzとはラッパーとしてずっと付き合いもあるし、去年、たまたま何かのきっかけで会って、全部を一緒にやろうってことになったんだ。フィーチャリングも一切無しで。

Problemz : プロダクション、リリック、両方を取ってみてもタイトル通り『ALL KILLA NO FILLA』だよ。
つまり、ギミックやインタールードに頼ることなく、一切の加工や装飾を取り除いたエッセンスのみ詰まったHIP HOPってことだ。付け合わせの野菜を省いた"肉"って感じだな。
今作は、良い意味で時代に逆行した作品だという印象を受けたのですが、それはやはり意図するところがあったんでしょうか?
dj honda : いや、これが、オレが今1番やりたい音だね。オレの2009年の音、マーケットとかオレには関係無いから。オレが今やれる中で、オレが思う最高の音を出してるだけ。


1人のアーティストだけを迎えた作品を発表するということは、ある意味かなりのチャレンジだと思うのですが、Problemzと一緒に作品を発表しようと思ったきっかけは?
dj honda : こいつのことはずっと知ってるし、音的にも好みも似ているんだ。それに、1人のアーティストに絞ることで、よりコンセプトも固められるしな。(アーティスト)1人で聴ける作品じゃなかったら(他のアーティストの)フィーチャリングも考えたけど、1人でも聴けるモノにしようと思ってたから、じゃあちょっとやってみようって感じで始めて、出来上がっていく内にイケるかなって思ったんだ。
「Da Payback」をリードシングルに選んだ理由は?
Problemz : この曲は、シーンに長く居続けているのに未だ日の目を見ていないアーティストをコンセプトにしているんだ。hondaと再会してこの作品を発表するってことは、オレにとっての"Pay Back"であって、オレとhondaの期は熟したってことでもあるし、過去にもオレたちの"時"はあったけど、時間を経て成長した"今"だからこそ、ネクストレベルに押し上げられる"時"なんだと思ってる。
「NY NY」は?
Problemz : NYはオレの出身地だし、hondaが(HIP HOPに対しての)愛を育んだ場所でもあるだろ。この曲こそがクラッシックなNYを代弁しているんだよ。
リリックには"city won't sleep so it won't come true(訳:眠らない街だから夢も叶わない)"とありますが。
Problemz : 真実だろ(笑)。NYは眠らない街だってことは周知の事実だからメタファーとして使ったまでだ。
NYでは、みんな四六時中ハスリンし続けていて、置かれている状況を冷静に捉えたり、手にしている物や事に感謝することを忘れているってことだ。
それ以外にも、粋な職人(=dj honda)が創ったビート、音楽、全てが最上級のNYを表現している1曲だ。
個人的には「Puff Puff & B Out」「Crookz(Give Back)」がお気に入りなのですが、お二人が選ぶ個人的なお気に入りは?
Problemz : もちろん全曲気に入ってるけど、個人的なトップ3は「Da Payback」「Neva Had」「Give It Up」だな。特に「Give It Up」は、オレがサンプリングソースを選んで、hondaが料理してくれた曲だからな。「Puff Puff & B Out」は若いヤツらに向けたHIP HOPの取扱説明書みたいなもんで、オレ自身も気付かされることがあった曲だ。

dj honda : オレももちろん全部だ。「Crookz」でヴァイオリンを弾いているのはNY在住の日本人の女のコなんだ。
hondaさんは90年代前半に渡米されたときから、多面的に進化を遂げている今のHIP HOPの状況を予想されていましたか?
dj honda : してたね。オレがやれるんだから、やれるでしょ。結局、ルールが無いから。
今は、"こうじゃなきゃHIP HOPじゃない"みたいな風潮が見られるけど、昔はそういうの無かったから。ロックやジャズの人たちがHIP HOPをやったり、それを使うヤツがいたり、いろいろあったワケで、ということは、"答え"が無いんだよ。答えが無いってことは、広がるよ。金も人も集まるわけだし、そうすると力も集まるわけだから、ジャンルも人種も関係無く関わっていけるし、今日の敵は明日のアーティストになれるし、携わっている人たちはどんなことがあってもHIP HIOPなワケだから、そういうコトって他のジャンルには無いよ。決まりもルールもないから、そこが好きだったんだ。
Def Jamが倒産寸前のニュースだったり、音楽業界の不況がかなり露になっていますが、それについては?
dj honda : 人は音楽を聴くのを止めないし、常に新しいモノが増えれば聴くだろうし、余計なヤツがどんどん淘汰されていって良いんじゃない。ちょっと1回絞ってみて、アメリカが創った音楽を買っていたヤツらが自分たちで音楽やっていたりとか、そういうのはHIP HIOPにとっても良いコトだと思うけど。
お二人にとってのHIP HOPの定義を教えてください。
dj honda : 最新音楽だね。オレはそこから入って行ったから。カルチャーもそうだけど、何となく共感出来ることもあれば、わからないこともいっぱいあるし。基本的には音楽をきっかけにいろんなカルチャーを追求して、こうやって考えてこういう音楽が生まれたんだとか、こういうコトでこういう音になるんだとか、そういうのは後付けだからね。やっぱり1番最初は音楽、HIP HOPミュージックだった。

Problemz : 難しい質問だな(笑)。いろんな定義があると思うけど、オレにとってのHIP HOPの定義は、"人生で最もユニークな体験"かな。シンプルだけど、それが全てを物語っていると思うよ。DJレッドアラートやマーリー・マールのミックスを聴いて、一つのことを変換させてみんながそれを表現していたオレの世代は、HIP HOPが全てだからな。今じゃHIP HOPは完全に市民権を得ているだろ。
今後のご予定は
dj honda : 「NY NY」「Da Payback」のビデオを撮って、リミックスを創るかな。あとはこいつのソロアルバムと『h IV』だな。これから録りたいのもあるし、誰が入るかってのもあるけど、あと2〜3曲くらいで終ればって思ってる。要はプロモーションと制作だね。今まで出してなかったから、これをきっかけにスピード上げていこうと思ってる。

Problemz : このアルバムは、hondaとの共同名義の作品だけど、ヴァイオリン奏者以外の客演はオレ以外に皆無だから、実質的にはオレのファーストソロアルバムだと思ってる。hondaとスタジオに入る度に、必ず曲を仕上げて常に新しい物に着手するようにしているから、今後もこのスタンスを保つだけだ。

では最後に『ALL KILLA NO FILLA』を手にするリスナーたちにメッセージをお願いします
Problemz : アルバムを手にしてくれて感謝してる。dj hondaのプロダクションがオレのリリシズムを確立して生まれた作品だ。「Out For The Cash」「On The Mic」の頃から応援してくれているファンや、『ALL KILLA NO FILLA』でオレを知った人、みんなのサポートには本当に感謝している。ありがとう。『h IV』、オレの新作、常に動向を追っておけよ。hondaはターンテーブリズムへの愛情で夢を叶え来て、それをビジネスにしているってだけで尊敬に値するよ。

dj honda : ペイバックの時だな

Problemz : その通りだよ。高飛車な態度を取るわけじゃないけど、オレたちは沈黙を通し過ぎたから、ようやく正当な評価を受ける時が来たんだ。オレたちが今まで何していたか、どこに向かっているかが解るハズだぜ。djhonda.com、myspace.com/djhonda、myspace.com/problemzzをチェックしろよ

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[March 2009 / interview & Text : sassyism / Co-operation : dj honda RECORDINGS]

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